任意後見と家族信託の併用は危険か①
任意後見も家族信託も家族内の財産管理ツールとして共通しています。
そして、たいていの場合、受任者、つまり任意後見人と受託者を一人の家族が兼ねることになります。
たとえば、父が娘に自宅を自益信託し、売却する際に、受託者は受益者、つまり父に了解をもらい、実行するような信託契約になっていることが、多いだろうと思います。父が認知症になったら任意後見人になって受益者として振る舞わなければなりません。
利害の衝突がここで発生します。
利害の衝突がある場合、任意後見の権限は停止し、任意後見監督人が父の代わりに判断することになります。
そして任意後見監督人はたいてい弁護士などでしょうから、職務範囲に含まれるかどうかから始まり、簡単には話が進みません。
さあ、困りました。どうしたらいいか。
もっとも受益者である父の了解なしで売却できるという信託契約であればよかったなあと思いますが後の祭りです。巷間でまわっている雛形には信託財産の受益者の了解が必要だという建付けのものが多いと思われます。
次回対策を考えてみましょう。