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オーナーのリスク

オーナーのリスク


所有と経営の非分離という沼地


財産のオーナーはリスクを抱えている。
財産を死ぬまで「経営」しつづけなければならないというリスクだ。
経営とは、自律的にまずい現状から抜け出るためのゴールを設定し、現状とゴールの差異の解決策を設計し、他人を動かしてその解決策を実行する。そして達成すれば次のゴールを設定するという永続する高度に知的なサイクルだといえる。
病老によってサイクルを実践する意志が衰えるかもしれないし、厳しいことではあるが、意志はあっても時流についていく能力が足りないこともある。
しかし、そのような財産を手放すこともまた苦悩がある。誰に渡すかという問題から始まり、多額の税金はかかるし、なにより失うことで、自分のアイデンティティを失い、生きる気力を無くす可能性もある。
持っていればリスクがあり、失うことでもリスクもある。
まだ若く、能力が高ければ、そのような解のないポジションをもつオーナーとは喜びに満ちた気持ちで生きていけようが、人間はあっという間に変化していくものであり、知らない間にオーナーのリスクはいわば幾何級数的に膨れ上がっていくのである。
そのようなリスクを実感したら、まず、冷静に家族の幸福を目的として、考えていくべきだろう。そして、そのために効果のあることを考える。
ここで提案したいのが、所有と経営の分離である。
会社でいえば、株主と取締役の関係である。
取締役をだれかに託す。
そうすることで経営を実行する立場から見守る立場に移るのである。
日本の法制・税制は財産の所有を手放したときに、課税される。他方で「取締役」という財産運用担当者を決めただけでは課税されない。
その方法として注目されているのが民事信託という方法である。
財産の所有権と経営権を分離して、経営権を次世代に託す制度だ。
税金の負担も驚くほど少ない。
明確な法律と税制によって支えられる制度であるので安心だ。
そのメリットを最大限に生かして、下手に動けば動くほど深みにはまる所有と経営の一致しているオーナーという沼を脱出することをお勧めしたい。

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