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民事信託制度(日本の場合)

民事信託制度(日本の場合)


世界共通であるが、信託制度についてポイントを3つにまとめてみる。

信託とは①財産を隠し、②守り、③承継する仕組みだ。

これは日本においても同様である。本質的に財産を隠そうというものだから国家はその対応に慎重である。
隠匿・保全・承継という信託の機能をもう少し上品な形で表現するとこうだ。

①信託による財産の機能分化(アンバンドリング)

信託を使うと財産の機能がバラバラになる。使用する権利、収益する権利、処分する権利から始まり、財産に応じてその財産に特有の機能を極限まで細分化し、さまざまな関係者へ分属させることができるようになる。
細分化は外部からみるとこれは「たまったものではない」(訳が分からない)が、所有者や後継者からするとだれがどのような機能、つまり権限・責任をもっているか一見して判明せず、財産の隠匿機能が遺憾なく発揮できる。

②家族と財産機能の統合(リバンドリング)
バラバラにした権限・責任を秘匿しながら家族やその他の信託関係者に紐づけていくことができる。これによって家族の立場を外部から完全に守ることができる。まさに保全機能だ。
その紐づけられた家族の立場はさらに、次の世代に、秘匿されたままで、代々継承されることになる。承継機能がこれだ。

③最低知っておきたい法律上の規定について少し触れておこう。
【信託の成立・変更・終了】
信託は、どのように作るのかといえば、契約である。契約は財産所有者と後継者の間で行うのだ。財産所有者は委託者Settler/Grantorといわれ、後継者は受託者Trusteeといわれる。
委託者が受託者に信託財産の法律上の所有権を移す。税務上の所有権は委託者のままの場合がほとんどである。この場合には委託者は受益者Beneficiaryを兼ねることになる。
変更や終了については委託者、受託者、受益者が合意して行うことになる。
【受託者の権限と義務】
信託には信託のコアとなる信託目的がある。これを踏みにじれば信託は終わる。
信託目的に従って受託者の権限や義務を信託契約のなかで決めることになる。細かくはきめきれないので、目的の範囲内かどうかという解釈が重要だ。
受託者が信託目的の範囲外の信託財産管理・処分を行えば、とてつもないペナルティーが課されることになっている。
【受益者の保護】
信託の受益者は信託でもっとも尊重される存在である。
責任はないが、権限は大きい。
受益者の権限は主に自分への利益還流と受託者に対する監視である。
この二つが満足に行われないときには、信託は死に体である。
他方で受益者には責任がないので、かりに受益者が意思能力を喪失しても信託の運営には直接支障はない。しかし利益還流の請求と監視機能が働かないのは健全ではない。
そうならないために信託監督人などの制度が用意されている。
信託を死に体にしないためにも委託者、受託者は信託契約時に信託監督人などを設置するようにしておきたい。

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