任意後見と家族信託の併用は危険か②
受益者の任意後見監督人が、信託財産の処分について、首を縦に振らない場合はどうするか。
任意後見監督人の代理権目録(1号様式)に居住用不動産の処分という項目がありますので、1号の場合にはそれを根拠に同意をしてもらえばよいでしょう。
2号様式の場合ではっきりと居住用不動産の処分についての代理権が規定されていない場合には、なかなかむずかしいことになります。
任意後見法6条によって本人の意思の尊重をするということが任意後見人や監督人に要請されていますので、本人の意思を信託の目的から汲み取り、居住用不動産が主観的な本人の福祉に沿うということを主張することになると思います。
高齢者財産管理法の世界は白黒つかないことが多すぎてついつい謙抑的に解釈されるケースが多いと思われます。
任意後見監督人も弁護士や司法書士などの法律専門職が就任するのが普通でしょうが、この方々のもっとも恐れるのは後見人の欠格事由となる解任です。
解任されると他の後見人もすべておりなければなりません。かりにおかしな監督行為をして任意後見監督人を裁判所から解任されても、それは(法定)後見人の欠格事由にはなっていません。
もちろん解任されるようなことは避けたいのでしょうが、本人の意思の尊重について、信託の受託者は真摯に働きかけていけば、道は開けると思います。